一般に、ヘルニアとは「飛び出す」という意味で、背骨を構成している椎骨と椎骨の間にある腰椎間板が変形し、本来の位置より飛び出して周辺の神経を刺激することによって、激しい腰痛や下肢痛やしびれなどが起きる病気です。
現代医学における保守療法としては、患部を牽引したり鎮痛剤や神経ブロックなども行われますが、効果が表れなければ手術やレーザー治療などが施されると思われます。しかしこれらの治療を受けたとしても、痛みとしびれの症状が再発してしまうことがあるようです。
【劉派気功からみた とらえ方】
将来、腰椎間板ヘルニアになる可能性のある状態
- 背骨が湾曲している・腰椎が左右どちらかに曲がっている
椎間板は体重分散のバランスを崩し、常に片方が受ける加重が多く、他方は少ないという状態が長く続きます。椎間板の線維輪が耐えられなくなり慢性的にひび割れが発生します。ひび割れが広がると線維輪の中の髄核が飛び出し、神経にあたり痛みを起こします。 - 日常に重い荷物を持ったり、悪い姿勢で座ったりすることが多い
大腰筋は強く緊張して充血、腫れ、硬直により筋肉の弾力が低下し、慢性損傷状態になります。 - ギックリ腰の繰り返し
気の流れが詰まり、微出血を繰り返して古い血が局所へ溜まり、筋肉は炎症を起こして、腰周りの環境が悪化します。特に線維輪は瘀血により血液循環の悪化と炎症の拡散が髄核までにおよび、線維輪はさらに弱くなります。 - 骨盤・背骨が歪んでいる
大腰筋の左右バランスが悪くなり、椎間板が間接的に悪影響を受けることにより、線維輪はいつ崩れてもおかしくない状態となります。
腰椎間板ヘルニアで考えられる邪気の原因
以上の１～４のいずれかに当てはまり、損傷した腰椎区域に、「火」・「熱毒」・「寒気」・「風」・「湿気」の５種類の邪気が同時に混ざり入るためと考えられます。
５種類の邪気は、それぞれの場所に存在し、以下のような特有の症状を起こすと考えます。
- 「火」の邪気は、腰椎の4番・5番の周り、臀部、股関節に存在し、激しく燃え激痛を起こします。
- 「熱毒」の邪気は、腰椎全体の周りに存在し、炎症を起こし、線維輪の水分減少と弾力を失うことにより破壊されます。
- 「寒気」と「湿気」が混ざった邪気は、大腰筋周囲に存在し、筋肉の弾力性低下や血液循環に異常を起こし、腰の動作は大きく制限されます。
- 移動する「風」の邪気は、腰の広い範囲に存在し、「風」が移動すると同時に痛みも移動します。また筋肉繊維の癒着を起こし、さらに痛みが増すことになります。
劉派気功の施術法
| 考え方 | 目指す効果 | 先生の施術 |
|---|---|---|
| ・痛みを起こす一番の原因となる「火」の邪気を消すことは有効である。
・痛みの度合いは、患部にある「火」の大きさに比例すると考えられる。 |
「痛みを和らげる」 | 患部にある「火」の燃えを鎮火させ、体外へ抜き出す |
| 線維輪の割れの原因となる「熱毒」をなくすことにより、炎症の組織から正常の組織へと変わり、尖った線維輪が元へ戻ることは有効である。 | 「尖った線維輪を戻す」 | 患部に冷気を入れて熱毒を溶かす |
| 筋肉の血液循環と弾力低下の原因となる「寒気」「湿気」をなくし、筋肉を修復させることは有効である。 |
「大腰筋の修復する」 |
温熱気で「寒気」を分散してなくし、「湿気」は患部から体外へ引き出すことを同時に行う。 |
| 左右の大腰筋のバランスが崩れた原因となる「風」を抜き出すことは有効である。 | 「左右の大腰筋のバランスを整える」 | お尻、太腿、ふくらはぎ、足指、の経絡（気の通り道）を使って「風」を追い出すことを目指します。 |
| 骨の歪みの原因となる「腰の気詰り」および「気の力不足」を正常にすることは有効である。 | 「歪んだ骨を整える」 | 腰の経絡（気の通り道）を開いて詰りをなくし、流れを正常にする。腰に陽気を入れて気の力を上げることを目指します。 |
- 以下のような考えの下で「痛みを和らげる」ことを目指します
・痛みを起こす一番の原因となる「火」の邪気を消すことは有効である。
・痛みの度合いは、患部にある「火」の大きさに比例すると考えられる。
先生の施術では、患部にある「火」の燃えを鎮火させ、体外へ抜き出すことを目指します。 - 以下のような考えの下で「尖った線維輪を戻す」ことを目指します
線維輪の割れの原因となる「熱毒」をなくすことにより、炎症の組織から正常の組織へと変わり、尖った線維輪が元へ戻ることは有効である。
先生の施術では、患部に冷気を入れて熱毒を溶かすことを目指します。 - 以下のような考えの下で「大腰筋の修復する」ことを目指します
筋肉の血液循環と弾力低下の原因となる「寒気」「湿気」をなくし、筋肉を修復させることは有効である。
先生の施術では、温熱気で「寒気」を分散してなくし、「湿気」は患部から体外へ引き出すことを同時に行うことを目指します。 - 以下のような考えの下で「左右の大腰筋のバランスを整える」ことを目指します
左右の大腰筋のバランスが崩れた原因となる「風」を抜き出すことは有効である。
先生の施術では、お尻、太腿、ふくらはぎ、足指、の経絡（気の通り道）を使って「風」を追い出すことを目指します。 - 以下のような考えの下で「歪んだ骨を整える」ことを目指します
骨の歪みの原因となる「腰の気詰り」および「気の力不足」を正常にすることは有効である。
先生の施術では、腰の経絡（気の通り道）を開いて詰りをなくし、流れを正常にする。腰に陽気を入れて気の力を上げることを目指します。